Thirsty Boots by Eric Andersen & John Denver
今回ジョン・デンバーの新しいDVD『Around The World Live』もお気に入りの曲が満載で嬉しさも格別だと感じています。
中でもボーナス・トラックの中にこの曲『サースティ・ブーツ』を見つけ、大感激しているんです。
まず今日はこの『サースティ・ブーツ』のルーツから探ってまいりましょう☆
シドニー・スポーツ・グランドで、行われたコンサートでは、27曲が収録され、ボーナス・トラックが5曲収録されていました。全部で33曲も歌ったのですね。凄い曲数ですよね!
ボーナス・トラックの2番目に入っていたのが、『サースティ・ブーツ』です。ちょうどこのオーストラリア・ライブがおこなわれる少し前に発売された『生きる歓び』(I want to live)に収録されており、私にとっては、その美しい旋律のゆえに大のお気に入りでしたので、このライブ・バージョンを聴き、そして見ることができるなんて、思いもよらないことだったのです。
この『サースティ・ブーツ』は、当時のアルバムによると、シンガー・ソング・ライターのエリック・アンダースンが60年代に活躍したプロテスト・シンガーであるフィル・オクスの死を悼んで捧げた曲であることが分かりました。
そこで、その詳しいルーツを調べることにしました。
まずは、フィル・オクスですが、1940年にテキサスのエルパソに生まれました。彼は、辛辣なユーモアの持ち主で熱心に政治活動、ベトナム戦争反対運動、公民権運動などに熱心に取り組んだプロテスト・シンガーでした。またボブ・ディランの好敵手と言われた人でもありました。
オクスの代表曲はDraft Dodger Rag、I Ain't Marchin' Anymore、Outside Of A Small Circle Of Friendsなどです。
60年代に精力的に政治活動、ベトナム戦争反対、公民権運動などに参加してきたフィル・オクスですが、時代の波に乗り切れず、作った作品がまったく売れなくなり、アルコールにおぼれる日々を送っていました。ベトナム戦争が1975年4月30日に終焉しました。オクスは『戦争終了』ラリーを企画し、同年5月11日にニューヨークのセントラル・パークに集会を開きました。この集まりにはハリー・ベラフォンテ、オデッタ、ピート・シーガー、ジョーン・バエズらも参加し、10万人もの聴衆がその場に集合しました。オクスは『ゼア・ バット・フォー・フォーチュン』をジョーン・バエズと共に歌い、『ウォー・イズ・オーバー』を歌ってオクスは戦争終了宣言をしたのでした。
その後、オクスはすっかり無気力になり、精神を病み、薬を処方しなければならない状態になっていましたが、1976年4月9日に自らの命を断ってしまったのでした。
一方エリック・アンダースンはジョン・デンバーと同い年で1943年に生まれました。ペンシルバニア州のピッツバーグ出身です。
アンダースンはちょうどジョンがそうであったように、エルビス・プレスリーやエバリー・ブラザースの歌を楽しんでいました。そして、実際に本人の演奏も見たりしていました。
その後、アンダースンは歌手を目指し、コーヒーハウスなどで歌を歌っていました。トム・パクストンがこのアンダースンの才能を見出し、フィル・オクスやボブ・ディランに紹介したのが彼らの最初の出会いでした。
私はジョン・デンバーのアルバム『生きる歓び』の中の解説を読み、エリック・アンダースンがフィル・オクスの死後にこの『サースティ・ブーツ』を作詞・作曲したのだと思っていました。歌詞の方も訳してみると、名前が出てこないものの、フィル・オクスを彷彿させるものがあると思っていたのです。
ところがどっこい、1965年にフィラデルフィア・フォーク・フェスティバルの時にフィル・オクスが聴衆にエリック・アンダースンを紹介し、フィルとオクスが一緒に『サースティ・ブーツ』を歌っていたのでした。オクスはこの作品作りに関して激励してくれた曲でした。その後にアンダースンがこの曲をオクスに捧げたものだということがわかったのでした。
エリック・アンダースンはこの『サースティ・ブーツ』をどんな思いで作ったのでしょうか?フィル・オクスのことをイメージしながら、作ったのでしょうか?その点においては謎に包まれています。
この歌の歌詞の中に刑務所に関する言葉が何回も登場します。実はフィル・オクスが学生時代に公園で寝ていたという理由で2週間も刑務所に入れられてしまったことがあるのです。彼はその中に入れられてしまった間にジャーナリストになろうと決心したんですね。刑務所に入れられるような罪を犯したわけでもなかったと思うのですが、彼にとって本当に辛い経験だったのではないでしょうか?
それに加えてこの歌詞の中に『across the plains from field to town marchin' to be free』という詩が登場しますが、フィル・オクスの代表曲のひとつに『I Ain't Marchin' Anymore』という曲があるので、この曲を意識したのかしらとも思いました。それに、『Your song shall not be failed』という詩の部分もオクスに向けられたものかしらとも思いました。・・・・でも、まだフィル・オクスが大活躍をしていた時代に書かれた曲だということですので、もしかしたらエリック・アンダースン自身に向けられたものだったのかもしれません。 いろいろと想像の部分は尽きることがないですね・・・・。
いずれにしても、フィル・オクスがこんな悲しい死を迎えてしまい、エリック・アンダースンがまず思いついた曲がこの曲であったことは間違いありません。二人で一緒に歌った思い出の曲です。そしてオクスに対する励ましのメッセージが込められています。『ただとどまって休もうよ。そうすれば、君はまた元気になれるよ。…』という呼びかけが心を打ちます。
ジョン・デンバーはオーストラリアのライブの中でアンダースンのことをお気に入りのシンガー・ソング・ライターとして紹介しています。
この『サースティ・ブーツ』の歌詞の中で、ジョン・デンバーのことを意識して見てみると、ジョンのワールドを感じさせるものがあります。リフレインの部分で『And mabe I can make you laugh,and maybe I try Just lookin' for the evenin' and the mornin' in your eyes』の部分がジョンのハートに響いたんだと思うのです。
それから、『Like laughing children one by one they look like you and me』や『I know you no stranger down the crooked rainbow trail』の部分もジョンに似合う箇所だと思いました。
この『サースティ・ブーツ』は本当に優しさに包まれた名曲だと思います。フィル・オクスへの哀悼の歌でもあり、疲れた人々への激励の歌でもあります。
エリック・アンダースンの歌っているシーンとジョン・デンバーの歌っているシーンを比べてみると雰囲気が全く違いますが、それぞれの持ち味がよく出ていると思います。
ジョン・デンバーのバック・バンドはハル・ブレインやジェームス・バートンをはじめとした一流のバックバンドがついており、実に華やかな演奏のもとに声高らかに歌っています。本当に素晴らしいです。エリック・アンダースンのしんみりとした歌い方もまた彼らしいと言えるでしょう。
まずはジョン・デンバーの歌う『サースティ・ブーツ』からお聴きください。
こちらはスタジオ録音版です。感動します・・・☆
次にエリック・アンダースン歌う『サースティ・ブーツ』を聴いてみましょう。
渋いですね・・・。
そして、エリック・アンダースンとジュディ・コリンズとトム・ラッシュのコラボです。
実に素晴らしいコラボレーションですね☆
こちらがボブ・ディランの好敵手だったフィル・オクスの映像です。I aint marching anymoreを歌っています。『サースティ・ブーツ』はこのフィル・オクスに捧げた曲です。
サースティ・ブーツ 作詞・作曲エリック・アンダースン 訳詞・マーヤ
君はだだっ広い道を歩いていた。
君は雨の中を眠っていた。
汚い言葉と泥だらけの独房の中で
君の服はひどく汚れていた。
汚い服と泥まみれの牢屋の中では
じきに気がおかしくなってしまうだろう。
だから、ただとどまって休もうよ。
そうすれば、君はまた元気になれるよ。
※
乾いた靴を脱いで、しばらくの間、休もう。
君の足は埃だらけの道を歩いて
熱くほてって疲れ果てている。
たぶん僕は君を笑わせてあげられる。
たぶんそうできると思うよ。
ただ、君の瞳の中に黄昏と朝焼けを探しているよ。※
遠く向こうのほうに見えるものを
話し聞かせて欲しい。
自由になるために
平野から街まで行進し、平原を横切っている。
そして、錆びついたろうやの門が
今にも傾いて倒れそうだ。
子供たちが向き合って笑っているのは
ちょうど君と僕みたいだね。
※ リフレイン
虹の曲線を辿ってきた君は
よそ者じゃないって、
僕にはわかっている。
崖の先端にステップを踏んで
岩を粉々に砕く。
つながれた刑務所、中傷の声が
壁をつたってゆらゆらとのぼってくる。
そう、友よ。これがすべてで、これよりももっとあるのさ。
君の歌は決して失敗なんかしたりしない。
※
乾いた靴を脱いで、しばらくの間、休もう。
君の足は埃だらけの道を歩いて
熱くほてって疲れ果てている。
たぶん僕は君を笑わせてあげられる。
たぶんそうできると思うよ。
ただ、君の瞳の中に黄昏と朝焼けを探しているよ。
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